2009年03月10日(火)   <<BACK>>

柔らかい意志(1)

 自分に「これを達成しよう」と思っていることがあり、それを実現するためには「強い意志」が必ずなければならないのだろうか。
 昨年末に耳下腺摘出の手術を受け、左顔面が麻痺してしまった。毎日リハビリを続けているが、目と口が不自由である。「動け左唇よ!」と号令をかけ、強く思うほどに力が入り、ますます口は歪んでしまうようだ。自分ではうまくやっているつもりでも、鏡を見ると、口がさらに斜めになってしまっているのが分かる。鏡を見つめながら、口の力の入れ具合をいろいろ試してみた。一番、歪みの少ないのが、唇とその周辺(右側)の筋肉を緩めた時である。つまり、ボォーとして、力が入っていない状態の時である。この状態が原点のように思う。
  そして、指を動かない方の唇に入れて少し挟んでみた。心を静かにすると、かすかな、本当にかすかな力が入っているのが分かった。動きとしては恐らく0.5mmにも満たないと思うが、わたしにとっては貴重なことである。
 「動くようにする」という目的意識はよいが、その気持が強すぎると、0.5mmの動きでさえ、無視してしまいそうである。
 今回の表題とした「柔らかい意志」、それは「静かである」「微細に観察しようとする」、それらによって生ずる心である。

→最近、曇りや雨の日が多いが、確実に少しずつ暖かくなってきている。草や木々は春の準備で忙しいだろう


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