2007年12月05日(水)   <<BACK>>

夜とイルミネーション

 夕方、梅田に出た。この日は特にビルを飾るイルミネーションが目に入る。きれいな輝きは新たな感動を生むし、気持ちを楽しくさせてくれる。ふと、14年前の阪神淡路大震災の時を思いだした。震災で停電になり、夜は真っ暗であった。普段は賑やかな駅一帯も、暗闇の中で不気味なほど静まりかえっていた。壊れた家々がなんとも寂しかったが、同時に「自然の姿」を見る思いもした。夜は暗いのが当たり前という。
  街に住む人間にとって、もう夜に包まれる感覚を日常で得ることは難しくなったのだろうか。夜の空間は人を孤独にするのだ。ある時は毅然と私との間に境界を引き、あるときはその境界を曖昧にする。夜は様々な想いが夢の中で駆け巡る時でもある。心の中は動いており、己の不整合部分を確認していく。そして清らかな水が心のグラスをゆっくりと満たしていく。
  夜は昼以上に大事な役割があるようだ。もし、夜が昼のようであれば、人はどこで不整合部分を修正させるのであろうか。私たちの中にある、主張する自我は、夜の暗闇の必要性を感じずに来た。しかし、そのために忘れ去った重要なことはあまりに多すぎるように思う。
 

 


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