2004年9月08日(水)   <<BACK>>

【閑話】
優越感

  人を差別する意識はほとんどの人間にあるのではないだろうか。自由競争といわれる今の時代では、企業が出す新製品とその宣伝方法は競合他社との間に差別 化が計られる。
  この「差別化」という言葉は「個性化」と近似な部分もあるが、ここではそれら言葉の定義付けうんぬ んには言及しない。問題にしたいのは、差別化の背景にある「優越感」である。
  優越感に心が浸ってしまうと、あらゆる物事を正しく見れなくなる。優越感は自我の絶対的(あるいは確信的)肯定を生み、それはさらに特権意識を作りだす。
  歴史を見るまでもなく「私達は優れた人種」であるとか、「優れた民族」であるという優越意識 はそのまま特権意識へ拡大しやすい。特権意識はそこに帰属する人の心をくすぐり、気持ちよくさせる。過去、そういう意識が国民を戦争へかりたてる原動力ともなってきた。このため多くの関係のない人々が犠牲になってきた。いや、過去の話ではない、現在も続いているのだ。
  為政者に不都合な事実は伏せられたり、曲げらて人に伝えられる。そして嘘で固められた物事の収拾がつかなくなったとき、国民を外敵の恐怖に追い込み、破滅への道を突き進む。全てが破たんした時、いままでの特権意識が完全な幻想であったことを私達は思い知らされるのだ。しかし、すでに犠牲になった善意の人が戻ることはない。

→ 夕方近く、突然、赤い煙突の客船が入ってきた。この船は人のどんな想いを乗せてきたのだろうか。

 


2004© copyright yamaji-kan